米子瀧山不動寺
当寺開山の聖地は、長野県須坂市に位置する国指定名勝米子瀑布群(米子
大瀑布)を背に当寺開山の地奥之院本堂(飛び地境内)がございます。不動滝
(高さ八九メートル)と権現滝(高さ八二メートル)の二筋の滝が織りな
す荘厳な風景の中、滝そのものが御神体として崇められています。
祭事全てを執り行う名刹米子不動尊 本坊米子瀧山不動寺(里堂)は開山の
地奥之院(米子大瀑布)より十二キロ手前にございます。「米子のお不動さん」
として古くから親しまれており、現世利益を授かれる寺院です。全国から
多くの方々に厚く信仰され続けています。
当寺の本尊不動明王は、日本三大不動尊のひとつに数えられる由緒ある
御尊像です。唐朝の安史の乱で真言八祖の一人不空金剛が勅命により長安
の大興善寺にて調伏の修法を行ない乱を鎮めた忿怒尊を模範に真言宗開祖
弘法大師空海が敬刻開眼した等身大の不動明王立像で、千年以上にわたり
人々の心の拠り所となっています。そのご加護は嵯峨天皇をはじめ、足利
家や上杉謙信公など歴史的な人物たちにも厚く信仰されてきました。
その信仰の歴史は奈良時代・養老二年(西暦七一八)に遡ります。泰澄大師の
弟子浄定が信濃国四阿山に白山大権現を祀ったことに始まり、高僧行基
(大衍暦の吉備真備とも)が二条の滝を背に堂一宇を建立し、行基自ら刻んだ
胎蔵界大日如来と一字金輪仏頂尊を本尊として安置し、天空の修行道場
となり、熊野信仰とも結びつき、滝を巡る信仰が広がりました。さらに、
江戸初期には天台宗南光坊天海の弟子弾誓と但唱の木喰戒が加わり、より
一層深い信仰の聖地として今に至っています。
本尊不動明王立像は文化財のため、一年を通して本坊(里堂)に安置いたし
ております。